Enjoy3耐
作成日:00/10/01
更新日:00/10/04


去年のKure 今年のKure

月日は確実に人を老化させている・・・。



 病院 

明け方に少し眠れたが、起きてもやはり病院だった。

朝一で担当の医師が様子を見に来る。飲食の許可が下り、堂々と飲めるようになった。
今朝方も楽勝でお茶を1本空けたのを看護婦に見つかり、怒られたばっかりだった。

週1回、医師全員で回診する日がある。今日はその日らしい。4,5人の医者が俺のベッドを取り囲む。

一番偉そうな教授って感じの医師:「レース中の事故だって?」

俺:「はい。」

一番偉そうな教授って感じの医師:「君はプロドライバーなの?」

俺:「あ。2輪なんですけど、趣味でやってます。」

頭の悪そうな若い医者:「テストドライバーかなにか?」

俺:(人の話聞いてんのかこの医者・・・。)

どうやらヘリで輸送されてきた事が珍しいらしい。ツインリンクからヘリで運ばれてきたのは5月のゴールデンウィークに来たフランス人以来だと後から婦長さんが教えてくれた。

頭の悪そうな若い医者:「なんcc?500?」

俺:「・・・1,000ccです。」(バイクレースと言えば500だと思ってやがる。ゲームじゃねんだぞ。)

頭の悪そうな若い医者:「1,000!?何キロくらいでんの?500キロくらい?」

俺:(この医者、500って数字が好きらしいな。ゲームだってそんなに出ねーよ。)

一番偉そうな教授って感じの医師:「そんなに出ないよ。せいぜい200キロそこそこでしょ。ちょっとクダ入ってる所見せて。」

入院は約2週間の見通し。エアを外に逃がしながら肺の穴がふさぐのを待つ。ある程度日数が経ってもエア漏れが止まらない場合は最悪手術。そうするとまた更に入院期間は延びると言う。

明日走ると言った事を担当医が他の医者にちくり、よってたかって散々馬鹿にされ、看護婦には大笑いされた。



昼過ぎにレントゲンを撮る。どうも俺の肺は一向に広がる気配を見せない為、機械で肺の穴から漏れた空気を吸引する事になった。縦50センチ、横30センチ程の機械をわき腹から入れられているクダにつなぐ。

吸引といってもそれ程強く吸引する訳ではなく、漏れた空気はクダを通って機械内の液体からぽこぽこと出るようになっており、これで漏れている空気量がわかるようになっている。

俺の呼吸に合わせ、漏れた空気でぼこぼこぼこと音を立てる機械。

その状態でしばらくすると、急に痛みがぶり返す。しかも今度は心臓のあたりも痛い。
痛みを医者に訴えるが、機械をつけたばかりだからそうなるでしょうとのん気な様子。
暫くこらえていればその内楽になるのかとも思って我慢していると、痛みはひどくなる一方。
しまいにはじっとしてられない程痛くなり、少しでも痛くない姿勢を探すべく、動かない体を必死に動かしてみる。しかし、机を枕代わりにうずくまった所で力尽き、そこを看護婦に発見される。

看護婦:「あれ〜。どうしたの〜?痛くなってきた〜?」

痛みで声も出せず、うんうんとうなずく。

看護婦:「座薬入れる〜?」

もはや座薬入れるために姿勢を変える事も出来ない。点滴からの痛み止めを訴えるのが精一杯。

HIRO:「て、点滴の・・・。」

看護婦:「座薬入れられない〜?」

HIRO:「う、動けな・・・はっ、はっ、はっ・・・。」

暫く様子を見ていた看護婦だったが、「あれ最後なのよねぇ〜。」とか言いながら一旦病室を出て行く。痛み止めの中でも、血液に直接入れる点滴は最後の手段らしい。

うずくまった状態のまま、点滴に痛み止めを追加してもらう。

さすがに最後の手段だけあって、痛み止めはよく効いたようで、仰向けになるとそのまま死んだように眠りについた。



トシ:「あにき!あにき!おーたさん来てるよ!」

目を開けるとおーたとえみゅが立っている。

HIRO:(あ、・・・あやまらなきゃ・・。)

寝たままじゃ失礼だと思い、上体だけベッドを起こしてもらう。

HIRO:「転んだ。すまん・・・。」

おーたは苦笑してうつむき、何も言ってくれない。

記:トシ
ポンプの音と寝息がとっても気持ちよさそうに奏でる中で、兄貴をひっぱたこうが揺すろうが起きませんでした。
すこしかわいそうだったがせっかく太田さんが来たので、ゆさゆさとゆさぶったら目が開いて5分位ぼけぇぇぇぇっとしていました。
このとき、『あ、やべぇ。重傷だっ』と思いました。
みんなの顔が不安になっているのが伝わってきました。
だめだこりゃと思い、「寝な。寝な。」と言いました。
そしてしばらくし、
太田さんを見つめ・・・。
開口一番
「すまんっっっ。転けたぁ」
『そんなことはわかっとるわぃ!』
誰もが安堵とともにそう思った事でしょう。
バイクの破損状態を詳しく聞く。転倒した時の事を考えるとかなりのダメージを与えていたはずだ。

その他、転倒してからトシの予選までの状況やてんちょ達が11位で完走した事など。

本来なら今日は決勝スケジュールや作業分担の最終打ち合わせ,タイヤやパッド交換の練習,それにアキラと画策していたライダー交代時のネタ合わせやリハーサルなど、やる事は一杯あった。



みんなが帰った後、置いていってくれたリザルトを何度も見る。

どうせ眠れない夜はふけていった。

〜 今日の二言 〜

・いびきがうるさいぞ!>前のおやじ
・寝言がうるさいぞ!>隣のおやじ

以上


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