練習走行(8月20日)
作成日:01/10/20
更新日:01/11/10
8月20日、月曜日。突然の車両変更事件から一夜明けた。
予選までの練習時間は全開走行を始める今日の1日と明後日の公式練習しか残されていない。
投入したばかりのこのCBRで予選通過出来るかは、事実上今日の1日で決まると言ってもいい。
今日の走行枠はプロダクション2本とレーサー3本の計5本。プロダクションをトシが走り、レーサーの3本を俺が走る。
前後のサスを推奨セッティングに合わせ、まずは俺から。レーサー1本目、初全開走行を開始する。

昨日の感覚から7秒台は簡単に出せると思っていた。いや、7耐を狙うなら最低でも7秒台には入れておかなければいけない。
コースインし、最初の2周ほどは13,000でシフトアップ。ダウンヒルだけブレ−キングポイントまで引っ張り、13,5000回転。計測開始1周目12秒から11秒、10秒。
しかし、これからという所でブレーキレバーがやたらと近づき、一旦ピットイン。アジャスタを目一杯回し、再度ピットアウト。何か釈然としない不安を抱えつつ11秒、9秒。そしてまたブレーキが近づき始める。すぐ次の走行でトシが走るため、早めにピットへ帰る。

HIRO:「ダメ。なんだかエア入ってるみたい。」

急いでフロントブレーキのエア抜きをするが、思ったほどエアは出てこない。それでも多少レバーが遠くなったので、とりあえずトシのプロダクション1本目、初全開走行出動。
最初は良かったものの、やはり周を重ねるうちに症状は出始め、走行半ばにしてピットインしてくる。
また何回もエア抜きをしてみるが、やはりエアはそれほど出てこず、タッチも変わらない。

HIRO:「ん〜・・・何故だ・・・・。」

次の走行時間も迫っている。これじゃタイムを出すどころではない。

HIRO:「もぅわっかんねーから、とりあえずパッド換えよう。新品もう1セットあったべ。」

BUMコンプリートにはFCMが組まれており、それがもう1セット付いてくる。

パッドをキャリパーから外すと、原因が解明する。

HIRO:「も、全然無いんだけど・・・。」

パッドはほとんど残っておらず、もうちょいでディスクをやっちゃうところまできていた。慣らしを含め、まだ4本しか走ってないのに。

〜ディスクをやっちゃう〜
ブレーキパッドを限界以上まで使い、鉄製のパッドベースでブレーキディスクを傷つけてしまう事。

HIRO:「なんだべ?はずれだったんかな。」

随分以前にも似たような経験をしたような気がした。このときはそれほど気にせず、新しいパッドを入れ、俺たちは一気にタッチが元の状態へ回復した事をぬか喜びしていた。

気を取り直して11時45分。レーサー2本目に俺出動。コースインし、ブレーキの効き具合を確認すると、シフトポイントを13,500回転に変えて全開走行開始。トルクの頭は13,500付近で回転の頭打ちは14,000を超えたあたり。この回転域まで回すと、6速まで使えていた各ストレートは5速までしか入らなくなり、6速を使うのはダウンヒルのみ。
やっと本格的にタイムアタック開始。やや攻め気味に走ってみるがしかし、タイムは思ったように伸びてくれない。計測開始から6周目に9秒を切るが、走行台数も多く、そこから先がなかなか縮まらない。

HIRO:(昨日のはなんだったんだ・・・)

チェッカーを受けるまで走りつづけたが、結局6周目の8秒4をベストに走行を終える。

バイクに問題が無い事を告げ、続いてプロダクション2本目、トシ出動。CBRを買って初めてまともに走る1本は6周目の13秒1。
そして12時45分、今日最後の走行となるレーサー3本目。もう後が無い。この1本で出すタイムが今年のもて耐への参戦姿勢に大きくかかわってくる。
そう肝に銘じ、CBRとともにコースへ出て行く。

HIRO:(タイム出なけりゃ3耐だ。)

計測1周目、11秒台。先ほどの走行と同じタイム。俺の場合、計測1周目のタイムで大体その走行のベストタイムが予想出来る。

HIRO:(やべ・・。)

それでも3周目には8秒台に入れる。今まで1番早いペースでタイムを縮めている。

今週末に本戦を向かえ、コースに車両は多い。去年の予選で転倒した後遺症は今でも続いており、体はスムーズな抜き方が出来なくなっている。恐怖感に勝てず、どうしてもカットイン直前で引いてしまう。
比較的クリアだった5周目に8秒を切り、なんとか7秒8。

HIRO:(問題はこっからだ・・。)

「ここから」トラブルはいつもこんな時にやってくる。しかしこの時は特にトラブルとも思ってなかったが。
またしてもブレーキレバーが近づいてきた。先程と同じように、ブレーキをかけるたび、コーナーを抜けるたびにどんどん近づいてくる。タイムは一気に9秒後半まで落ちる。

HIRO:(おっかしぃな〜。さっき換えたばっかなのに・・。)

ヘアピン立ち上がりでバイクを右に寄せ、片手でなんとかアジャスタを調整するが、またすぐに近づいてしまう。タイムは10秒台まで落ち、それをサインボードで確認してもピットへ戻る気にはなれず、ブレーキングのたびに恐怖感と戦いながら必死に走る。
HIRO:(これが最後・・・なんとかあと1秒縮めておかないと・・。)

ブレーキが効かないって事はタイムが出るって事だと言い聞かせ、効かないなりに走りつづけるが、ついにダウンヒルで間一髪オーバーラン。これにはさすがにピットイン。アジャスタを目一杯遠くして再度ピットアウトするが、ブレーキは相変わらずだし人間も緊張の糸が切れるしの11秒台で時間切れタイムオーバー。チェッカーを受ける。

ピットへ戻り、一息ついてブレーキを見る。

HIRO:「あ・・・やっちゃってる。」

今度は完全にやっちゃってる状態だった。

キャリパーを外してパッドを見ると、見事に物を大切にする使い方だった。

〜物を大切にする使い方〜
パッドを必要以上使った結果、ディスクを傷つけて結局高くついてしまう事。

HIRO:「2本で終わるパッドって・・・。」

交換してから新品で俺が1本、続いてトシが1本。その後の俺の走行が1本持たなかったって事は2本しか使えなかったって事になる。恐るべき環境に厳しいパッドと言うか、耐久じゃ絶対使えないパッドと言うか、なにしろ実用範囲外だ。最初に着いてた時のパッドも同じだったので、個体差でもないだろう。8枚全部、同じように減っていた。



満足な状態じゃなかったとはいえ、全力で3本走って7秒後半が1周だけと言う結果に終わった。油断してると3耐も危ない状況だ。7耐は遥か遠く、やる前から諦めたくはないが、現実的にはまぐれや奇跡でも起きない限り予選通過は無理だろう。
今年は予選15分。あの混雑したコースで6周以内に最低でも6秒前半を出さなければ予選通過は無い。
予選落ちから敗者復活で決勝進出と波乱の1年目。VTR初投入の2年目は楽勝で予選落ち。悲願の予選通過を果たしたものの、決勝を走る事は許されなかった去年。7耐の厳しさはよく知ってるつもりだ。

こうなりゃレースは楽しんだもん勝ちって事で、最初から3耐ねらいで割り切っていくのも悪くは無い。


そう考えるしか無いのだ。無理して怪我してもしょうがない。楽しくなくちゃ意味が無い。俺らはまだまだレースを続けていきたいのだし。



セッティングデータ
サスペンション
(フロント)
突き出し40o
油面117o
粘度G10
INI14mm
TEN1/4回転戻し
COMP3/4回転戻し
サスペンション
(リア)
車高+12o
INI4段
TEN1+3/4回転戻し
COMP3/4回転戻し



今日のベストタイム
HIRO2分07秒83
トシ2分13秒11

〜 今日の教訓 〜

・ブレーキディスクは大切に。

以上

[練習走行]に進む

['01もてぎ7時間耐久参戦計画]に戻る

[Compus Road Racing]