練習走行
作成日:09/07/07
更新日:09/07/21
記:えみゅ〜

当初、5日朝移動の予定だったが、Aクラスの走行時間の関係で急遽前日移動することに。
南ゲート前で車泊しゲートオープンと同時に入る。
さすがに公開練習の時と違ってパドックに車は少ない。
1番ピットから順に空いている所を探すが1台も入っていない所は無く、結局18番ピット付近まで移動。
おーてぃ:「どこにする?前回と同じ18番にする?」
えみゅ:「どこでもいいけど、縁起悪いから18番はやめない?」
おーてぃ:「じゃ、16番で」


転倒箇所を修復し、油面を122oから115oに変更。リアスプリングをノーマルの9.0kgから10.5kgに変更。

記:おーた

以下の整備を実施
1.フロント周りの組みなおしとチェック
2.油面を122o→115oに変更
3.リアスプリングを9.0kgから10.5kgに変更
4.シフトタッチ改善のため、「スピンドルシャフト」、「センターCOMP.,シフトドラム」、「ストッパーCOMP.,ドラム」を交換
  「リターンスプリング」、「ストッパースプリング」は前回交換済
5.クラッチフリクションプレート厚さチェック
6.右ラジエータのフィン修復、ステー修復と水漏れがないことをチェック
7.サイレンサーのへこんだ部分を少し板金してグラスウール詰め替え
8.タンクの傷ついた部分をタッチペンで修復
9.削れたブレーキペダルを修正
10.カウルステーの修正



これらのテストを兼ねた今日の走行は、おーたがBクラス2本、としとHIROがAクラスの2本をそれぞれ15分ずつ相乗りする。
おーたととしはそのまま居残り、明日の公開練習にも参加する予定。これが予選前最後の走行となる。

記:えみゅ〜

今日の走行はAクラスはHIROさんととしで相乗りし、Bクラスはおーてぃが乗るらしい。
Aクラスのときは15分で交代するのでサインボードを出してほしいとのこと。
HIROさん:「15分でP出して」
えみゅ:「了解」
とし:「上下段とも全Pでよろしく」
えみゅ:「全P??りょ、了解」


まずは1本目Aクラス。HIRO、としの順。




HIRO9秒後半、とし7秒後半。

記:HIRO

上げた油面の影響で、最初の頃と比べるとブレーキングは大分楽になった。反面、1次旋回が辛くなってきた。
人間が、転倒の影響でフロントに加重をかけられなかった為、もっとペースを上げてみない事には何とも言えない。
こんな状態だったので、リアスプリングの変更までは分からなかった。
シフト周りの部品交換で、シフト操作はすこぶる良くなった。
次の2本目ではしっかりとペースを上げ、確認しなければならない。


記:とし

30分の内、CBRで走ってからVTRに乗り換え。
数周はまともに乗れたもんでなかった。
CBRに体が慣れているのにVTRじゃそうなるだろう。
その逆でVTRからCBRに乗り換えている兄貴も同じ感じなんだろうと思いながら2台でのろのろ周回していた。

後半徐々に慣れてきたのでタイムアタック。
公開練習のようなフロントブルブル感は改善されてきているが、逆に一次旋回しなくなってきている。
そう感じるのは進入スピードが上がってきているせいなのかどうかはわからないが、二次旋回に頼るマシンに仕上がってきている。
本来あるべき姿なのだろうが自分は一次が曲がる方が安心できて好きだったりする。

クリアを取る事がなかなか難しく8秒を切るのがやっとだった。
次の周3コーナ進入で抜くために無理に突っ込んでしまい、曲がりきれるか不安だったので真っ直ぐグラベルへ突っ込み、
グラベルをクリアしようとしたのだがこらえきれず立ちゴケ。

抜くのが下手だと実感すると共に、おーたさん済みません。


記:えみゅ〜

SP-1はHIROさん→としの順で乗ることに。
HIROさんのSP-1、としのCBRの順でピットアウトして行く。
一人で2台のバイクにサインボードを出すのはほぼ初体験なので少し緊張。

先にHIROさんのSP-1が出たので、まずSP-1を探す。
無事SP-1を発見後、としのCBRも無事発見。
その後、順調に周回を重ね、途中でCBRが先を行くようになる。

そろそろ15分という頃、全Pのサインボードを出す。
最初にCBR、サインボードを2〜3回振り、アピールする。
としはサインボードに軽く頷いたように見えた。『多分、分かっているよね?』
続いてSP-1、同じくサインボードを振り、アピール。
HIROさんはいつもの様にサインガードギリギリに寄って右足を出す。『確実に分かってるな』
次の周、無事にバイクを乗り換え再びピットアウトする二人。
その後、順調に周回を重ね、『後1〜2周でチェッカーかなぁ』と思っていた頃、赤旗中断となる。

CBRのHIROさんは帰ってきたものの、SP-1のとしが帰ってこない。
明らかに“やっちまった”のはとしだと思った。


記:えみゅ〜

どういう状況なのか分からず、なかなかドナドナも来ない中、Bクラスの走行時間が迫ってくる。
ツナギに着替えて待っていたおーてぃだが、とりあえず作業着に着替えなおす。

『次の走行は無理なのでは?』とういう判断になり、コントロールタワーに走行のキャンセルをしに行く。
受付で手続きを待っていると、息を切らしながらおーてぃが入ってきた。

おーてぃ:「グラベルに飛び出しただけで、バイク大丈夫だから、キャンセルしないで!」

えみゅ:「えっ?りょーかい」

なんとかキャンセルをキャンセルし、ダッシュでピットへ。
慌てて走行の準備をし、「気を付けてね!」と一声かけておーてぃを送り出した。


2本目Bクラス、おーた。


記:おーた

ブレーキは楽になったが、ターンインでスカット曲がらなくなった。
開けていくところでは、リアが高い位置でスムーズに路面を捕らえていて、すごく良い感じ。
終盤に前に座り、タンクに体を預けるようにして、フロントを押さえつけて走ったところターンインの曲がり方が改善されたような...
次は、少しプリロードを抜いてみようかな。


昼を挟み、3本目Aクラス、HIRO、としの順。

記:HIRO

走行時間を15分勘違いしていて、走行5分前に慌てて準備。
車両に跨り、ブレーキレバーがちょっと近いなと思いながらも、そのままピットアウト。
既に相当並んでる中、遅れてコースイン。
この走行でしっかり確認しなければならない。
油面を上げれば、ブレーキング時の挙動は安定するが、一次旋回しにくくなる。
旧車の場合、車体剛性とのバランスも考慮しながらのセットアップが必要となってくるが、
何れにしても、フロントに加重を乗せてコーナーに入っていけないようだと、いくらブレーキングが楽になったからといってタイムは出にくくなるだろう。
逆に言えば、ブレーキングが多少辛くても、旋回しない位ならブレーキングを我慢した方がタイムは出やすくなる。
それを見極められるまでペースを上げ、リアサスの状態も確認したい。

コースイン開始直後からアップ気味に走行。3コーナー、5コーナーで前車をパス。
いつも通り130Rを駆け上がり、ブレーキング。
人差し指にブレーキレバーが食い込み、車速は落ちない。

「抜けた!」

とっさにリアブレーキを踏む。瞬間、キュゥゥ〜とタイヤの摩擦音がし、バイクが横を向き始める。
やばい!と思い、本能でリアブレーキを離すが、車速は殺し切れてない。

「こんなスピードでグラベル突っ込みたくねーー!」

またとっさにリアブレーキを踏む。カットインのポイントはとっくに過ぎた。キュゥゥ〜と言う音と共に横を向いたと思った瞬間、バイクから思いっきり投げ出された。

アスファルトに叩き付けられ、グラベルで2度3度回転する。
すぐに立ち上がる事は出来たが、左膝が妙に痛く、足を引きずりながらやっとの思いでガードレールまでたどり着く。

荒い息を整え、膝他体各部の痛みを堪えながら目の前に横たわるSP-1を眺める。

「くっそ、またやっちまった・・・」

暫くすると、レッカーとグラベル走行車が到着する。一瞬で無惨な姿と化したSP-1。ハンドルもロックされ、リアタイヤも完全に潰れたそれを無理矢理レッカーに載せて跨り、ピットへ搬送してもらった。


記:えみゅ〜

1本目と同様、SP-1はHIROさん→としの順で乗る。

走行時間を勘違いしていて気付くと走行5分前!
二人とも慌てて準備し、ピットアウトして行く。

1本目の走行でピットイン時だけボードを出したのを反省し、最初からボードを出すことに。
タイムや周回数は出す必要が無いので、黒ボードのまま出す。
今回もSP-1が先に出たので、まずSP-1を探す。

『SP-1、SP-1・・・ん〜??いないなぁ。。。。』

そう思っている内にとし通過。

『あれ??今、としのCBR通ったよなぁ。SP-1どこいったぁ〜??』

見落としたのかと思い探し続けるも、またもやとし発見。
とりあえず、としに黒ボードを振り、『ボードはここだよ!』と、アピール。
としはボードを発見したらしく、こちらを見て通り過ぎる。
さらにSP-1を探すがやっぱりいない。

えみゅ:「ねぇ、HIROさん、いないんだけど」

おーてぃ:「んー、いないねぇ。。。やっちまたかぁ?」

そう言うとピットへと戻ろうとするおーてぃ。

えみゅ:「ねぇー、ピットインサイン、どうしよう?」

おーてぃ:「んー・・・、出さなくていいよ」

ピットインしても乗り換えるバイクは無いんだからそのまま走り続けてほしいけど、どうやって伝えよう・・・
とりあえず、15分までは黒ボードを出し続ける。
15分が過ぎる頃、本当なら全Pボードを出すところを、黒ボードのまま出し、左手で『GO!GO!』と拳を突き上げる。

『これでどうにか分かってくれ〜〜っ』

としは明らかに『???』な感じで通り過ぎる。
次の周、もう一度同じ動作でアピール。『お願い、分かって!そのまま走って〜っ!!』
としは明らかにこちらを凝視しながら通り過ぎる。

そんなことをしている内に、ようやくドナドナがピットロードに入ってくるのが見えた。
微かに見えるヘルメットで『多分HIROさんかも』と思い、ピットを見るも、おーてぃの姿は無い。
慌ててピットに戻ると、ドナドナに『ここだよ〜』と手を振る。
徐々に近づいてくるドナドナにバイクを支えるHIROさんが見えた。

ドナドナに同乗している→救急車で運ばれなかった→大きな怪我はしていないと理解し、一安心。
しかし間近で止まったドナドナで衝撃映像を目撃する。。。


記:とし

1本目同様にCBR→VTRでの予定。
タイヤを新品ピレリのCBRで出動。

コースインはVTRの方が先行して出発している。
タイヤの感じがすさまじく良くて5〜8秒台で走行して兄貴VTRを探す。

『お。いたいた』と思って近づこうとするとストレートであっという間に離される。
『VTR速えぇぇ』と思ったら違う車種。

軽快なCBRで追撃するのだが全然VTRらしいバイクに合わない。

『いったいどんだけのペースで走ってんだ・・・』

さらにペースを上げて4秒台が出てCBRも好調。
でもVTRが現れない。
そろそろ交代だと思いサインボードを見るが、えみゅーが何もサインのないボードを振り回して合図している。

『???』

明らかにPは出てない。
走行しながら
『(ボードが)黒だったぞ黒。どーゆー事だ?』
でも
『えみゅーがPサインを付け忘れてんのかな・・・』
『それとも俺の見間違えか?』

一度ぶっちぎりをやってしまった事のトラウマからいろいろ余計な事を考えてしまう。
確認するため最終立ち上がり右へ寄せてサインボードをしっかり見る。
やっぱり何も無いサインボードを振りかざし合図している。

さすがに集中力が切れたのでピットイン。
壊れたVTRがピットにあったのでやっと事態が理解できた。


記:えみゅ〜

リアタイヤは見たことも無い形に変形していてホイルとタイヤの間に草が生えている。
ボッコリ穴の開いたシートカウルはシートレールから外れて浮き上がりボヨヨーンな感じ。
タンクはベッコリ凹んでいて内側に折れ込んでいる。

バイクを降ろそうにも、ハンドルが右に切れたままで戻らないらしく、少し進んではリアタイヤを持ち上げて軌道修正してまた進むという具合で、
ドナドナの人に手伝ってもらい何とか降ろすことができた。

すぐにバイクからHIROさんを解放してあげたかったが、おーてぃはいない、としは走行中、私は非力で何もできない。
すると、同ピットのあらいさんとよっしーさん達がHIROさんからバイクを受け取りピット内へ運んでくれた。
(本当にありがとうございました!!)

少しずつ前進するSP-1を後ろから見守っていると、色んな物がボロボロと外れて垂れ下がっている。
そんな中、としがピットイン。

とし:「そーゆーこと・・・」

えみゅ:「走行時間が勿体無いから、そのまま走って」

としは頷くとピットアウトしていった。
おーてぃを探しに車検場付近まで行くが、いるわけも無く再びピットに戻ると、おーてぃが帰ってきた。

おーてぃ:「次の走行は無理だね。キャンセルしてきて」

本日2回目のキャンセルのためコントロールタワーへ。
今度はキャンセルのキャンセルは望めなかった。
ピットへ戻る頃、走行時間終了となり、としは無事走行終了。


見た目で分かる破損箇所としては、アッパーカウル耳吹っ飛び、シートカウルバラバラ、スティむにゃ、タンクべっこり、シートレールぐにゃ、リアホイールぐわんぐわん、エキパイぺこ、ラップショットぐちゃ。
残ストを示すタイラップも実走よりかなり下にある所を見ると、恐らくフロント周りも×。






左膝が痛くてまともに歩けないが、折れてなかったのがせめてもの救い。苦労しながらも、なんとかしてツナギは脱げた。

YUMI:「メディカルセンターってどこ?」

HIRO:「いいよめんどくせ」

YUMI:「とにかく行って見てもらお」

HIRO:「どうせ折れてなきゃなんも処置しねーんだもん」

YUMI:「行くよ!」

HIRO:「へいへい、後でな」

YUMI:「今すぐ!!」

HIRO:「はい・・・」

火を付けようと手にしたタバコを置き、びっこをひきながらメディカルへ向かう。

メディカルへ着くと、看護士が3人。

「90度の方ですか?」

「あいや、S字の方です・・」

程なくしてドクターに看て貰う。膝を曲げたり伸ばしたり。

結果、一切の処置無し。メディカルを後にし、よっしーに貰った湿布を貼って、少しでも痛みを誤魔化す。


予選まで後2週間。破損状況からして、パーツの納期を考えると時間が無さ過ぎる。

今年の第3ライダーは、マジでシャレにならん男だ。

記:えみゅ〜

改めてSP-1を見て『もしかしてもて耐終了?』と思ってしまう。
忙しく作業をするおーてぃとは対照的に何もできない私。。。
テント下で座っていると、痛々しく足を引きずるHIROさんがしみじみと

HIROさん:「えみゅ、ごめんな・・・」

えみゅ:「ん〜まぁ、しゃーないよ」

と言うのが精一杯だった。

SP-1は作業がしやすいようにリアタイヤを予備と交換。
外装を外し、各箇所をチェックしていく。
その結果、おーてぃは「部品がそろえば何とかなるかな」という結論を出した。

シートレールを失ったSP-1を見て、「もて耐は中腰か?立ちこぎか?」なーんて冗談を言いつつ車に積み込み、それぞれの帰路に着いた。





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