スポーツ走行(6月6日)
作成日:99/06/13
更新日:99/06/28

明けて日曜日。今日も全開晴れ。

レンガを利用するのは今年に入って既に4回目。もうすっかりおなじみとなった山犬神に挨拶も忘れない。

「タタラ場行ってくるっす。」と言ったら「黙れ小僧!」と怒鳴られた。

所で来週はここで全日本選手権が開催される。つまり今日は全日本選手権の1週間前。
多数の全日本ライダーが走りに来るだろう。って事でピット取りは最初から諦め、余裕ぶっこいて8時半にパドック入り。


メインパドックに到着すると、居るわ居るわ。速そうな人達。一昨日予約した時点で、レーサークラスの予約番号は前代未聞の46番だった。

適当に空いている場所を陣取り、バイクを降ろす。

暫くするとトシが俺らの上を行く余裕をぶちかまし、到着する。

トシ:「ピット取れなかったの?」

俺:「来週全日本だからな。こっちゃぁ、あんたが取ってくれてると思ってたんだけど。」

トシ:「いや、俺もそっちが取ってくれてるもんだとばっかり。」

よくある話である。

ピットを取れなかったのは、2年前にライセンスを取りに来た依頼。

昨日のうちに全ての作業を終えていた為、今日は特にやる事が無い。何気に跨ってみる。

俺:「やっぱこのタイプのステップは滑るな。」

ステップの先で踏ん張る俺は、先っちょに神経質。早速ノコギリで切れ目を入れる。


そういえば、前回の走行時には無かったパーツがもう1つ追加されている。HARC−PROのフレームスタビライザー。


ストレートエンドでの、ハンドルの振れ対策として装着したこいつの効果の程は定かではないが、買えない値段ではないし、震源と思われる個所への補強なので、わらにもすがる気持ちで付けてみた。

それにしても今日は朝から暑い。ピットを取れなかった俺達に容赦無く太陽が照り付ける。




今日の走行は、プロダクションクラス2本にレーサークラス3本。おーたがプロダクションの2本を走り、俺がレーサーの2本目と3本目を走る。

ふと気づくと、おーたがフロントホイールを回しながら首を傾げている。どうも動きが渋そう。

俺:「ん?ディスク歪んでる?」

おーた:「ん〜。なんかそんな感じ。」

ホイールを回してみると、全体的に抵抗が大きく、ある1ヶ所で動きが渋くなる。ディスクが歪んだ時に良く似たアレだ。
このホイールに付いているディスクは中古で買ったばかりの物。車と正面衝突し、乗っていたVTRをパーツとしてバラ売りしていた人から買ったものだ。歪んでいても不思議では無い状況。

俺:「とりあえず、これじゃダメじゃん。」

おーた:「ディスク換えよう。」

今日最初の走行、10時20分からのプロダクション1本目まで後30分しか無い。急遽ディスク交換となり、のんびりと暑さにうだれている場合じゃなくなった。


両方のディスクを交換し、後はフォークに組み付けるだけ。もう走行まで時間が無い。

俺:「着替えてていーよ。組んどくから。」

フォークにホイールを組み付け、両側のキャリパーを仮締めし、ホイールを回してみる。が、重さは変わらない。

俺:(まだキャリパー締めてないのに・・・何故?・・・。)

おーたはつなぎに着替え、出動準備完了。しかしこれじゃ走れない。
10時20分。プロダクション1本目の走行が開始された。先程から暖気運転していたバイク達は次々にコースへと出て行く。トシもFZRで出動した。

俺:(どーなっとんじゃこりゃ・・・前まで全然OKだったのに・・・。)

走行開始直後のパドックは一気にバイクが居なくなり、走行前とは一転、静かになる。2コーナー立ち上がりからのストレートを通過するバイクの音だけがたまに聞こえる。

俺:(今年もトラブル開始かよ・・・ったく・・・。)

原因不明のトラブルに、訳も分からずホイールを回し続ける俺。つなぎのまま立ち尽くすおーた。焦る。

ズリッ、ズリッ。

俺:(・・・?)

ズリッ、ズリッ、ズリッ。

ホイールを回す度にズリッっと音がする。

俺:「わ、分かったぁぁ!」

俺:「タイヤ、地面にこすってる!スタンド低すぎ!」

昨日、高さの調整をしたフロントスタンド。絶妙の高さにセットしたと思っていたのが、絶妙すぎた。
昨日調整した時に履いていたタイヤはD207GP。今履いているのは新品のGRP70F。プロファイルの違いからか、昨日はくるくる回ってたフロントホイールも、今日はわずかにタイヤが路面に設置し、それが抵抗となって重くなったいた。
暖気運転でパドックがうるさかった時は気づかなかった。良く見るとタイヤに路面と擦った後がある。
原因が判明したし、既に走行開始時間はとっくに過ぎているが、念の為テストする。
フロントスタンドを1段高くセットし、回してみると、これがまたくるくると良く回る。

俺:「フロントおっけー!(爆)」

慌てて作業していた為、キャリパーやアクスルのボルト締めを何度も確認する。10時35分、やや出遅れて本日1本目の走行。おーた出動。

少々暑いが絶好のコンディション。1周目23秒から、20秒,18秒とタイムを縮め、4周目には15秒をきる。
5周目、14秒67。6周目14秒22と順調にタイムを縮めて行くおーた。前回迄のベストタイムは13秒10。新品タイヤを入れた今、当然12秒台を狙っているだろう。
しかし期待された7周目は19秒。8周目に16秒と持ち直す。

俺:「ん〜。まだ1本目だしな。やっぱいきなりベストって事ぁねーよな。」

9周目。ホームストレートを通過するおーた。

えみゅ〜:「おぉっ!」

おーたのタイムを計測しているえみゅ〜が驚いたように声を上げる。13秒を飛ばして一気に12秒前半のタイム。12秒34。

俺:「おぉ!マジかよ。いきなり12秒かい。」

えみゅ〜:「びっくりしたぁ。」

残り3周を15秒〜16秒で周回し、1本目の走行を終える。

第3ライダーとなったトシもFZRで頑張ってる。前回までのベストタイムは20秒。
1周目31秒から、27秒,24秒,21秒。そして7周目に20秒を切り、19秒47。その後も20秒〜21秒で周回し、11周目、更にタイムを更新し、19秒34。自己ベストを1秒縮め、走行を終えた。

19秒出して廃人と化したトシ。

プロダクション1本目の走行が終了し、20分の間隔を空けてレーサークラスの2本目が開始される。
今走ってきたばかりのVTRに跨り、俺出動。
コースインゲートには来週末の全日本選手権にエントリーしている国際ライダーが走行開始を待っている。
コース上でなるべく邪魔にならぬ様、最後尾に付ける。125や250レーサーの中で、1人だけビックバイクな俺。なんとなく場所を間違えて迷い込んだ子羊風。

俺:(おーたに12秒出されたんじゃな。俺も続かなきゃ。)

コースオープン。ひとしきりライダーを見送った後、間合いを計ってコースイン。
前回の走行から多くの変更を施した今回。とりあえずハンドルの振れだけでも収まっていて欲しい。

1周目22秒から、19秒,19秒,18秒,16秒,15秒と少しずつ縮めて行く。ハンドルの振れは殆ど収まっていた。バックステップもいい感じだ。
しかしここからのタイムがなかなか縮まらず、うまく乗れない。前回乗った時に感動した1次旋回は得られず、S字は切り返した瞬間にフロントがゆらゆらと暴れ、安定するのを待って開ける為、立ち上がりがもたつく。
次々と125のライダーに抜かれ、走っていて追いつくのは慣らし中のバイクだけ。今このクラスを走っているライダーの殆どが俺より10秒以上速いタイムで周回している。
こんなに抜かれまくるのは何年ぶりだろう。彼らは何処からでも容赦無く抜いて行く。1コーナーではバンキングを開始した直後にアウト側とイン側から挟まれ、身動きが取れなくなる。それでも2コーナーからのストレートではパワーで抜く事が出来るが、3コーナー進入の事を考えると思いっきり全開に出来ない。彼らから見れば動くでかいシケインにでも思えるのだろう。遠慮がちになり、自分の走りが出来ない。完全に”負け”な心理状態。

結局9周目の14秒19がベストで、11周の走行を終える。初めて乗った前回タイムにも及ばない。なんだか不甲斐ないというかやるせないというか・・・。



とりあえず、ハンドルの振れは収まった。これは大きな収穫だ。ハンドル振れ対策として入れたHARC−PROのリアスタビライザーを手放しで誉めまくる。
フロントの違和感をおーたに伝え、イニシャルを5ミリ抜く事にした。

昼休みに飯を食い、午後からの走行が開始される。1時30分、プロダクション2本目におーたとトシが出動する。

更にタイムアップを望むべくコースに出て行ったおーただが、16秒〜18秒のタイムで8周し、走行を終了する。
攻め込んでみたものの、やはり進入で無理するよりスムーズに乗った方がタイムが出るらしい。

対してトシは6周目、7周目と19秒台を連発し、最終ラップ、又しても自己ベストを更新して18秒後半のタイム。
走る度に1秒ずつタイムを縮めていく。18秒と言えば去年、俺がプロダクションタイヤを履いたFZRで出したベストタイムだ。
今日の2本で2秒近く自己ベストを更新し、実りのある1日だっただろう。こーゆー時は走ってても楽しいもんだ。

18秒出して廃人と化したトシ。



そして今日最後の1本。レーサークラス3本目の走行が開始される。

来週末にレースを控えてる全日本ライダーには申し訳無いが、もう周りの事なんか気にせず、自分のペース維持に努める。
おーたの走行直後。タイヤも暖まってる。1周目から全開。

1周目、17秒から入り、2周目に16秒。しかし3周目、前向きに乗れてきている所で赤旗中断。

一旦ピットへ戻り、コースオープンを待って再度ピットアウト。気を取り直して1周目、19秒から16秒,14秒。
徐々にブレーキングポイントを奥にとっていく。この辺からやっとブレーキホースを換えた効果が体感出来るようになった。

5コーナーの進入でアウト側に125がチラッと見える。しかし普段通りのラインで立ち上がる俺。
続く130R進入でアウトから被せられ、振り向きざまに睨んで行く125のライダー。
ペース維持を自分に言い聞かせる。翻弄されちゃ駄目だ。
130R立ち上がりで開けて行くとフロントが外側に逃げるような感覚を覚える。攻められてきたのか?

S字は体から先に動かすイメージで、バイクの動きに合わせて切り返す事により、フロントの揺れは無くなった。ヘアピン手前やダウンヒルのブレーキングはギリギリまで我慢。フロントタイヤは前方向のグリップ限界なのか、バタバタと底付き感がある。左右にながれ始めたリアタイヤをリアブレーキで調整する。

最終コーナーのシケインはエンジンブレーキで減速しすぎる。やや開け気味で切り返し、そのまま徐々に開けながらバイクが起きた所で全開。

きっちりまとめたつもりだ。ミスも無い。

ホームストレート。タイムを確認する。

13−9
−−−
−−−

俺:(よしっ。さっきのラップで13秒入れてんなら、今のは12秒入ってるはずだ。)

解説
ライダーがサインボードで確認するタイムは、今走ってきた周のラップタイムではなく、その前のラップとなる。
前のラップとたった今走ってきたラップを感覚的から、表示されているサインボードのタイムを見て今のラップタイムを想像する。

ストレート終わりのブレーキングはギリギリまで奥にした。130Rの立ち上がりだってこれ以上開けられない。
今のラップは確実に前のラップを越えている確信があった。
ここまでやって12秒出なかったらどうしようもない。
勢いづいて更に1周し、再びホームストレート。

俺:(どうだっ。)

14−4
−−−
−−−

俺:(14?なんで・・・これだけやってタイム落ちてる・・・。)

コントロールラインにチェッカーが表示された。



パドックに戻り、最終ラップのタイムを確認すると、14秒16。やはり12秒台は出ていなかった。

俺:「おめぇ、どーやって12秒出した?」

おーた:「計測ミスか?(爆)」

俺:「1秒も2秒もどーやってミスすんじゃいっ。」

本日全ての走行が終了した。

初めてVTRに跨るトシ。
今年のライダー3名
左から、HIRO(第2ライダー)/トシ(第3ライダー)/おーた(第1ライダー)



帰り道。今日の走行を客観的に振り返る。
イニシャルを抜いた2本目の走行は、確かに1本目よりも旋回するようになった。しかし前回初めて乗った時のような1次旋回での内向性が失われている気がする。前回からの変更点であるフォークの油面はセオリー通り1センチ上げただけだ。肩に力が入り、本来の旋回性を殺しているのだろうか。
それにストレートも、もっとパワーがあったような気がする。しかしバイクが遅くなる要因はなにも無い。タイヤも新品だし、スピードやパワーに体が慣れてきたのだろうか。

今のレベルで、タイムが出ない事をバイクのせいにしたくはない。今までだってそうだった。同じセッティングや気象条件で、先週はダメだったけど今日はベストタイムなんて時だって多かった。
大体、おーたは12秒出している。
モータースポーツは精神状態や心理状態で大きく結果を左右するスポーツだ。分かってるが、初回乗車時のタイムしか出ないのは何か腑に落ちない。

単にまだVTRというバイクに乗れていないだけなのか。冷静に考えてみれば、ブレーキングばっかり必死に詰めて、進入はヘナチョコだったような気もする。おーたも攻めこむとタイム出ないと言っていた。
パワーがあればタイムが出るってもんでもないが、あの遅いFZRのタイムより1秒以上も遅い俺に対し、おーたは既に3秒以上も速いタイムで走っている。

何故だ。分からない。この次走った時もこんな調子だったらどうしよう・・・。


今日のベストタイム
HIRO2分13秒91自己ベスト更新
おーた2分12秒34自己ベスト更新

〜 今日の教訓 〜

・晴れでも早起きしてピットを取ろう!
・フロントスタンドは高めにセットしよう!(ってゆーか絶妙セットはフェンダー外さないとタイヤ交換出来ない!)

〜 今日の一言 〜

・トラブル出ないバイクっていいねぇ。

以上

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