チームの忘年会っつーのは大抵今シーズンを振り返る所から始まって、
来シーズンへの体制だの抱負だの目標だのみたいな話になったりする。
我々もまた例外ではない。
俺:「もういいかげん今のバイク(’89ZXR)は乗れないし、新車の400でも買っちゃおっかなぁ」
等と現実性を無視して来シーズンの事を話していた時であった。
アキラ:「内澤さん、来年俺のバイク乗らない?」
年内に92年型のTZで昇格ポイントを獲得し、国際クラスに上がってしまったアキラから突然こんな発言があった。
俺:「へ?何が?」
アキラ:「来年レース出られないし、1年休もうかなと。」
俺:「・・・。」
アキラ:「金もないしね。」
俺:「・・・。」
アキラ:「んでぇ。1年もバイク走らせないのも、もったいないし。」
俺:「・・・。」
アキラ:「まぁ、メカニックとしてサーキット行くのもいいかなぁと。」
俺:「・・・。」
アキラ:「1年間無償貸与って事で。壊れたり消費した分のパーツ代は買ってもらってさ。」
俺:「・・・。」
アキラ:「セッティングとかメンテは俺がやるから。」
俺:「・・・。」
アキラ:「内澤さんは乗るだけ。」
俺:「・・・。」
アキラ:「バイク買い換えるんなら考えてもよくない?」
俺:「・・・・」
俺:「・・・・・・・・」
俺:「・・・・・・・・・・・・・」
俺:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
RSオータ:「うっく。」
俺:「俺、そんな速く走れないよ。」
アキラ:「別に上位走ってくれとかポイント取ってくれとか言ってるわけじゃないし。」
アキラ:「成績期待してる訳じゃないから。」
俺:「あっそう・・・。」
俺:「・・・。」
アキラ:「・・・。」
俺:「んだってTZでしょ?俺乗れんのかなぁ?」
アキラ:「へーきだよ。あんなん誰でも乗れるって。おんなしバイクなんだし。」
俺:「いやまぁそーだけど・・・」
俺:「大体、2サイクルでサーキット走った事もないしなぁ。」
RSオータ:「チャンスじゃん。」
ロウ:「俺なら乗るな。」
俺:「そっかぁ。まぁただでTZ乗れるなんて事普通ねーしなぁ。」
ロウ:「メカニック付きだし。」
RSオータ:「ワークス体制って事で。」
俺:「んじゃ、いっちょやってみっか。来年はレーサークラスだ。」
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これをきっかけにして、翌年からのGP250クラスへの参戦が決定した。