00TZ
作成日:00/04/20
更新日:00/05/01

99年5月、3年乗り続けたTZを売ることにした。
96年に中古で買った1年落ちのTZは、その後俺に多くの事教えてくれた。初めての表彰代に導いてくれたのも、このバイクだった。
乗り慣れたそのバイクでやりのこした事はいくらでもあった。ライダー自身がまだ乗り換える程の器じゃない事も自覚していた。
単純に今よりもエンジンパワーのあるバイクに乗ればタイムが短縮するとも思っていない。むしろ逆のパターンだって見てきた。
しかしレースをする上で、得にもてぎにおいては速いバイクの方が圧倒的に有利だ。
その上最近では何をやってもパワーが出ないし、デトネーションとの戦いにも疲れ気味。(クランク換えないからなんだけど)当然、ストレートでは簡単に置いていかれる始末。
さらにアキラの98TZ試乗経験が、一度浮かんだ乗り換え思考に拍車をかける。やはり最近のTZはいい。
そして夏に行われるもて耐への全力投球が最後の迷いを断ち切った。
少なくとも、耐久が終わるまでこのバイクには乗れない。耐久が終わった後でもレースに出る事は無いだろう。
つまり、もう今年このバイクに乗る機会はかなり少ない。来年乗るバイクはその時又考えればいい。
あまり上手に使えなかったし、大事にもしてやれなかったけど、この3年間本当にお疲れ様。

同年9月、様々なものを投げ打って挑んだ割には散々な結果に終わったもて耐の余波も過ぎ、シーズンも終わりに差し掛かる時期となった。
そろそろ来年に向けてバイクの調達を考えなければいけない時期でもあった。雑誌やネットの個人売買で中古のTZを物色するが、やはり1年落ちのTZはまだ高い。
そう、バイクを売った時から1年落ちの定説に従い、次のバイクは98TZと決めていた。
雑誌の終わりのほうにある個人売買ページとは対照的に、カラーページで新型TZの特集をやっていた。無論、直接自分には関係無い記事であるが、興味はある。
読み進んでいくうちに、インプレッションや数字の上で来年のTZを知る。なんだかわからんが、すごい事だけは伝わってくる。

YZRのコンセプトそのものが受け継がれたTZ

俺:(わ、わいぜっとあーる・・・)

大幅に進化し、結果として別物になった新型TZ

俺:(べつもの・・・)

セッティングに悩まず、走る事に専念出来るマシン

俺:(なやまない・・・)

仕上がりはワークスマシン

俺:(わ、わーくす・・・)

一瞬、いけない考えが脳裏に浮かぶ。

(買っちゃうか?)

いや、まさか。1年落ちのTZが高くて悩んでる人間が、さらに倍もする新型TZを買おうと考えるなんざぁおこがましいにも程がある。

価格:185万円

俺:(う〜ん・・・)

そんなある日。

俺:「新型のTZって98や99なんかのとホイール共通かな?」

アキラ:「同じなんじゃん。」

俺:「そっか。」(終了)

アキラ:「・・・・・。」

アキラ:「なんだよ。00の話なんかして。」

俺:「いや別に。」

俺がこーゆー事を言い出した時は、大抵の場合、自分の中ではもうほとんど決めている事が多い。来年はレースを始めて10年目に当たる年。いつかは新車のレーサーと言う小さな夢をかなえる事にする。
かくして同年10月、恐らく人類至上最初で最後となるであろうミレニアムレーサーの注文を決意する。

明けて2000年4月1日、待ちに待ったそいつの納車。
ほぼ1年間、空の状態だったトランポに真っ白いカウルの新車を積み込んだ。車を走らせるとフローティングディスクがパッドに当たり、カチャカチャと懐かしい音がする。

今度手にした新人は、これからのレース人生に何をもたらせてくれるのか。

以上

[ロードレース履歴に戻る]

[Compus Road Racing]