公開練習(8月1日)
作成日:98/08/04
更新日:98/08/06

7耐公開練習2回目。いよいよ8月に入り、3週間後の今日は決勝当日となる。

1回目の公開練習とは違い、各チーム1台のみの参加となるが、本番参加車両以外での走行が認められる。

今週、RSオータには夏休みを利用してシリンダーヘッドのオーバーホールをしてもらった。
エンジンパワーへの期待が高まる。
タイヤもGPRを1セット用意してきた。これで5セット目になる。

今回の優先課題は、い〜かげん決めておかないとやばいキャブセッティング。それと使用タイヤの決定。フロントスリックをアキラに試してもらう。

6時過ぎにパドック入り。エントリーリストを見るに有力チームの多数参加を想像していたが、今の所そうでもない。

7時から受付開始。なんの身分確認もせず、ゼッケンナンバーを言っただけで走行券とトランスポンダーをもらう。
我々は偶数ゼッケンの為、Bグループ。今回も走行は無料。

− 走行スケジュール −
Aグループ  9:00〜 9:30Bグループ  9:45〜10:15
Aグループ 10:30〜11:00Bグループ 11:15〜11:45
Aグループ 15:30〜16:00Bグループ 16:15〜16:45
Aグループ 17:00〜17:30Bグループ 17:45〜18:15

朝飯を食い、8時からブリーフィング。(しかし相変わらず時間通り始まらない)

今回の参加台数は約50台。エントリー数の半分程だ。

思いの外少なかった為、午後の走行はグループ分け無しで、全ての走行が可能と説明がある。(午前から混走にすりゃぁいーのに)
つまり、今日1日で午前2本、午後4本の計6本。一人丁度2本づつ走れる事になる。

一通りの説明が終わった。話の内容は今日の事についてのみ。レースそのものの事については一切触れていない。

所で送付されてきた受理書に、7耐レースウィークのタイムスケジュールは同封されていない。後日連絡との事。
予選のクラス分け等、決勝グリッドに並ぶ為のルールも分からない。
(あの不均衡なエントリーからして、真正直に単純なラップタイムだけで予選通過になるとは思えないし、
 以前受付カウンターのおねーちゃんに聞いた時もそんな事を言っていた。)

しかしあくまでも常識で考えた場合の想像でしかない。いつか確認したかった。
少なくともここにいる殆どのエントラントが気にしている事だろう。

「では、全体を通して何かご質問等ありますか?無いようでしたらこれで終了しますけど。」

すかさず、「はい。」と手を上げる。

「予選についての質問なんですけど、いいですか?」と聞くと、ちょっと困った顔で「長くなります?」と聞き返される。

「・・・・。」(長くなるかどうかはそちらの答え方によるのでは?)と言いたかった。

「因みになんでしょう?どんな事ですか?」

「あのぉ〜。予選通過の選抜方法なんですけどぉ。」

「えぇ。」

「予選ってクラス分けされるんですか?」

「はい。A,B、2クラスで考えてますけど。」

「いや、そーゆー事でなくって・・・えぇ〜っと・・・。あの・・・。予選通過基準の・・・。」自分で手を上げておいてどう言っていいか分からなくなる

一同:「・・・・・。」場内シーーーーーン。

「例えばそのぉ・・・。カテゴリーや排気量別にクラス分けして、各クラスの決勝進出台数で決まるとかですねぇ?」と言ってみる。

「いや、そういった事はないです。今回、オープンと言う事で、ラップタイムのみになります。」

「そうですか。わかりました。もう一ついいですか?」

「なんでしょう?」

「スリック使用可なんですよね?」可能と分かっていたが、確認したかった。

競技規則書をペラペラめくりながら、「ええ。特に記述が無いので使用可能ですね。」

「はい。わかりました。以上です。」

「他に何かありますか?無いようでしたらこれで終わりたいと思います。」やたらあわてている様子を見せながら言う。

そんな態度されたら誰も聞ける訳なく、ブリーフィングは終了する。みんなガヤガヤと部屋を出ていく。

「全部一緒だってさ。ちょっと気が楽になったべ?」とアキラに。

「うん。」と複雑そうな表情でうなずく。

一般的に、大排気量車が有利だと思うが、公開練習の様子を見る限り今回のもてぎ7耐に関してはその逆である。
大排気量車に乗る殆どのライダーがTRMC−S会員(要するにもてぎのサーキットライセンス)ではなく、普段はこのサーキットを走っていない。
一緒に走ってそのライディングを見ても、サーキットでのレーシング走行そのものに不慣れな感が拭えない。
対して250や400のライダーは現役の地方選手権ライダーが多く、レベルも高い。ラップタイムがそれを裏付けている。
その為、例えば中排気量クラスで決勝の選抜を行った場合、俺らの遅い400では結構厳しくなる。
全部まぜこぜとなった方が、予選のボーダーラインは低くなるだろう。



さて、今回のキャブセッティングはプラグの焼けから判断して、大きめの150番を入れている。

RSオータチューンのエンジンに火を入れる。

気持ち、今までよりも吹け上がりが軽く感じられる。マフラーから出る黒い排気ガスも少なくなったようだ。

と、アンダーカウルから水が滴っている。

「ありゃ!」

「どっから漏れてんだ?」

「とりあえず、アンダー外そう。」

外した瞬間、「あぁ、分かった分かった。」とRSオータ。

シリンダー背面から伸びているウォーターパイプがしっかりはまってなかったらしく、そこの継ぎ目から水が出ていた。

水漏れの箇所

液体ガスケットでシール効果を上げる



朝一の騒ぎが一段落し、1本目の時間。9時45分。

とりあえずタイヤは前回のまま。フロントスリック、リアBS。アキラ出動。
フロントスリックにいかなる判断を下すのか?

1本目、アキラ出動

1周目、24秒で通過する。

「最初だしな。まぁこんなもんかな?」

2周目、最終シケインを立ち上がってくる。
ストレートを通過する彼。スピードが全然のっておらず、セッティングどうのこうのと言うレベルの問題じゃない。
全開なのにバイクが異常に遅い。タイムは22秒。

「どしちゃったかな?」エンジンが気になる。

ピットインしてくるアキラ。なにか様子がおかしい。

ピット前で待っていると、隣のピット前あたりで止まる。リアを指さし、何かジェスチャーしている。

走っていくと、リアキャリパーから煙が出ている。パッドがガッチリとディスクを押さえ込み、バイクをそれ以上前へ進ませない。

「又か!」前回の走行と同じ現象。解決済みだと思っていたのに・・・。

ピットからチューブと受け皿を持ってきてフルードを抜き、バイクをピットへ運ぶ。

写真では見えないが、煙を上げている
トラブルメーカーなリアブレーキ

とりあえず今の走行は諦める。

「リアがきーちゃってるから、スリックだかなんなんだか全然分からなかった。」とアキラ。(そりゃそーだ)

前回の時はエアの混入を原因として解決したつもりだった。エア抜きをした後、2本走って異常は無かった。

何故だ・・・。

キャリパーを外して、パッドを確認してみる。

すると、なんとベースからボロボロと、まるで軽石のようにパッドが剥がれている。

ボロボロ
バラバラになったブレーキパッド

「こいつが原因?」

「そうでしょ。」

「なんで?」

「パッドが浮いてきてディスクに当たるから。フェードすんでしょ。」

「・・・ふぅ〜ん。そうなん。」なんとなく納得した様なしない様な未消化な気分だった。

何れにしてもこのままではどうしようもない。なんとかしてパッドを手に入れなければ折角の走行が無駄になる。
今日はまだ始まったばかりだ。

全ピットを回って、互換性のあるパッドを使用しているバイクを探す。
しかしそこは何しろFZR。不人気車らしく、他には1台しか居ない。そしてやはりスペアのブレーキパッドなど持っていない。
エントラントに87FZRが1台いるが、パッドの互換性は無い。
流用出来るのはFZ400。確か今回、1台エントリーしていたはずだ。
エントリーリストからゼッケンを割り出し、そのFZを探すが、見つからない。
受付に聞いた所、今日は参加してないとの事。
事情を説明すると、近所のパーツ専門店を教えてくれた。
速攻電話で確認するが、当然無いと言われる。

万策尽き果てたか・・・・もう残る手だては無い・・・・。

「俺、小山の南海行って来るよ。場所知ってるし。」とRSオータ。

「片道1時間位だから、2時間もあれば戻って来れるよ。」

「分かった。今在庫確認する。」電話番号を調べ、店に電話する。

あぁ。ありますよ。90型以降のFZR400RRね。リアのブレーキパッドね。SBSだけどいいですか?」

はい!なんでもいいです。今から伺いますから。」

11時丁度。RSオータ、小山へ向けて出発。午後の走行は3時半から。時間は充分ある。



ブレーキパッドを確認している最中、実はメディアの人に話しかけらていた。

なんでも7耐の広報誌を担当しているらしく、各チームに色々と話を聞いて回っているとの事。

黙々と作業を続ける2人でもこちらが気になる2人

「えぇ〜と。まず、お店の名前でエントリーされてますけど、やはりお店関係の方々なんですか?」と聞かれ、困ってしまう。

「いやぁ、お店はもう関係ないっちゅーか・・・いや、関係無くはないんですけどぉ・・。」と歯切れの悪い回答をする俺。

「まぁ。そうですね。一応、みんな店の常連客みたいなもんで、店からこのバイク借りて、んで、今回耐久に出させていただいた様な感じですか。」

「あぁ〜。そうですかぁ〜。普段はレースとかされてるんですか?」

「えぇ。3人ともTZでGP250やってます。去年のもてぎ選手権も出てますよ。」

「ほうほう。なるほどぉ。」

*** 中略 ***

「では最後に[もて耐]に対する抱負をお願いします。」とニコニコされながら聞かれる。

いきなり聞かれても困る。
「まぁ、楽しめりゃいっすよ。」だとふざけてるみたいだし、
「400でビックバイク共を食います!」(本音)な〜んて言っちゃって、後で取り返しつかなくなっても面倒くさいし。
ここは普通に答えるに限る。

「そうですね。賞金獲得。20位以内完走ですか。」

「ほほぅ。すごいですねぇ。20位以内だと、結構賞金もデカイですよね。」

(あ。賞金は30位からだった。20と30間違えちった。しかし今更訂正はかっちょわるすぎだし。大体、20位って幾らだったか忘れてるし。)

「そうですね。はははは。」とりあえず笑いで答える。

「わかりましたー。んじゃ、頑張って下さい。」

「はぁぃぃ。どもぉぉ。」



RSオータを1人で買い物に行かせた理由は、1つある。
11時15分から開始される午前中最後の走行を、リアブレーキ無しで走る為だ。

ブレーキペダルを外すのはさすがにヤバイ為、間違えて踏んでも利かないようにペダルを思いっきり下に下げておく。

順番からいくと次は俺の走行になるが、アキラにフロントスリックの感覚を掴んでもらう事を優先し、彼に走ってもらう。

走行状況をを判断し、俺へとライダーチェンジする予定。

1本目が濃い状態だった為、メインジェットを10番落としの140番に交換する。

そんな矢先、コース上にオイルがまかれたとの場内アナウンス。場所はヘアピン。
走行開始時間が若干遅れる。

オイル処理が終わり、コースインの合図とともに、アキラ出動。

1周目、24秒。
2周目、22秒。
3周目、19秒。
4周目、21秒。タイムが落ちた。
ヘアピンオイル&リアブレーキ無しの状態で、19秒で周回したんならフロントの感覚もつかめただろう。

「次、ピットイン出して。」

5周目もやはり19秒で、ピットイン。俺へとライダーチェンジ。

「ヘアピンはまっすぐ行った方がいいから。」

「ん。わかった。」

コースイン。ピットアウト直後の1コーナーで、一瞬リアブレーキを踏もうとする。

(わかってても癖でやっちゃうな・・・。右足はつま先立ち固定っと。)自分に言い聞かせる。

3コーナー進入、ファーストアンダー手前右の進入、S時進入とブレーキングポイントを手前にとる。

Vコーナーを立ち上がり、ヘアピンのブレーキングに備える。

すると、ブレーキングポイント手前、150メートル看板あたりから、オイル処理剤の白線がヘアピンへ伸びている。

アキラに言われた通り、進入で一度白線を踏み越え、アウト側ランオフ手前1メートル付近で一気に抜きを変え、立ち上がりでもう一度白線を踏む。

まったく絶妙なラインでオイルをまいてくれたものだ。ヘアピンコーナーの理想的なレーシングラインで白線が引かれている。

体の慣らしに徹し、4周目にやっと20秒をきって、チェッカー。リアブレーキを一切使わないで走行したのはこれが初めてだった。

午前中の走行終了。



昼休み。

ブリーフィングで言ってた通り、午後からはA,B両方のグループを走行する事が出来る為、次の走行は15時半から。

実に3時間以上も時間が空く。やたらと長い昼休みだ。ブレーキトラブルの一件で、我々にとっては好都合だったが。

飯を食い、アキラはメインジェットの交換作業を行っている。10番落としてもまだ濃い状態だった為、さらに5番落として135番を入れる。

「スリックどうだった?」

「う〜ん・・・・。問題ない事もない訳じゃない・・・。」

「え?」

「いや、いいんじゃん。スリックで。」

正直、ホッとする。3人ともフロントスリックOK。それを知り、早速次の作戦を開始する。

TZのリアホイールからスリックタイヤを外し始める。フロントスリックが成功した今、調子に乗って今度はリアにもスリックを履かせようとしている。
フロントはサイズ的にも問題ないので、すぐにやる気になったが、FZRのリアホイールはスリックタイヤの適応リムサイズから0.5インチも外れている。
因みにスリックタイヤの適応リムサイズは5.0〜5.5。対してFZRのリム幅は4.5。
ビートが上がるかどうかも分からないので、とりあえずホイールにハマるか試してみるといった程度。

FZRのスペアホイールにスリックをはめる。エアを入れても圧力がかからず、なかなかビートが上がらない。
2〜30分もやっていただろうか。諦めかけた頃、やっと上がった。
パン!パンではなく、ポムポムといった感じ。(そこまでやるんならしょーがねーなぁ。)と言われているような音。

(なんか・・・大丈夫なんかな?)と不安になるが、上がった事は上がった。

そんな頃、RSオータがブレーキパッドを買って帰ってきた。次の走行は彼の番。

早速リアキャリパーに新品のブレーキパッドを入れる。

スリックタイヤを組んだFZRのスペアホイールをRSオータに見せ、「どう?試してみない?」

「う〜ん。いいけど・・・いいかな?」

「大丈夫っしょ。」とリアホイールを交換する。

リアもスリックなFZR

「なんか、みょぉ〜にとんがってるね。」

「随分細いね。見た目はダメって感じ。」

やはり随分と評判が悪い。俺的にはビートが上がった瞬間、イケる!と確信したのだが・・・。
4.5インチホイールに無理矢理入れた為、プロファイルが合わず、センター部が随分とがってる。
元々三角な形をしているダンロップスリック。確かに妙な感じはする。



そして午後の走行時間。リアに新品のブレーキパッドを入れ、前後スリック。RSオータの本日1本目。

「ダメだったら速攻帰って来るから。」とRSオータ。

「わかった。リアだし、すぐ交換すっから。」(信じろっつーの)

RSオータの1本目出動

2周目に2分25秒。その後24秒、23秒と1秒ずつ詰めていく。ピットインする様子は無い。

「帰ってこないって事は大丈夫なんかなぁ〜?」

「ん〜。そうらしいね。」

5周目、27秒。がっくりとタイムを落とす。そして次の周にピットインしてくる。

親指でリアを指さし、[ダメ]のジェスチャーをしている。

バイクに駆け寄り、「そっか・・・ダメだったか・・・。」

「いや、タイヤはオッケー。ブレーキ。」

「ん?」

アキラがピットからレンチと受け皿を持って走ってくる。

又しても例の現象。やっと事態を把握した俺もホースとブレーキクリーナーをピットから持ってくる。

リアブレーキのエア抜きをすると、やはりすごい量のエアが出てくる。完全なフェード状態。

「どうする?」

残りの時間はあと10分程。

「リア使わないで走って来るわ。」とピットアウトしていく。

再び計測を開始して、1周目いきなり21秒。

「これであの27秒も説明がつくって訳だ。」

そのままのペースで残り2週を走り、チェッカー。



それにしてもこのリアブレーキにはまいった。
新品のパッドを入れても症状は改善されなかった。
状況から見て、ブレーキをリリースしてもキャリパーピストンが戻らず、その為の摩擦熱でフェードしているようだ。
それでは何故ピストンが戻らなくなるのか?

シールはこの間交換したばかりだし・・・。

キャリパーに問題があるのか?それともマスターシリンダー?

スタンドアップした状態で100回ブレーキペダルを踏んでもなんともない。

悩む3人

3人とも初めての経験。マスターシリンダーに原因があるとの説が有力。

今日の所はリアブレーキ無しで走り、次回走行時にマスターシリンダーを交換する事に決める。



16時15分。午後2本目、アキラの番。

走行開始直後の模様

18秒、17秒、19秒、16秒、18秒とタイムにばらつきがある。
バックマーカーを抜くのに手間取っている様子。
ホームストレートでスーパーバイク仕様のRC45とVTRに抜かれるが、直後の1コーナーブレーキングで2台を抜き返す。

一瞬、ポカーンと口を開けて見ていたが、1コーナーへ消えてゆくと、「あいつぁぁぁすげぇっ。」と爆笑する俺とRSオータ。

ピットに戻り、モニターを見る。2台のモニターは片方がコースカメラ、もう片方がラップ表示にチャンネルを合わせている。

2台のモニター

すると、3コーナー進入で、ものすごい煙が上がっている。

「なんじゃ!燃えとんのか?」

よく見ると、コースサイドでライダー自ら自分のバイクに消化器を振りかけている。煙に見えたのは消化剤だった。

「うわぁ、やっちゃってるよ。」

映像に気を取られていると、アキラがピットインしてくる。

「ん?どしたん?」

「なんか煙吐いてる奴居たからピットインして来ちゃった。」

「おぉ。ドカね。モニターにも写ってるよ。」

「あと何分?」

「5,6分かな。」

再びピットアウトすると、1周目にいきなり16秒。次の周さらに1秒詰めて15秒をだし、チェッカー。



15分後、続けて今度は俺の番。

タイヤはもう充分暖まっている。ウオーミングアップラップも飛ばし気味で、最終シケイン立ち上がりから全開。
メインジェットを絞って、さっきの走行より力がある。5速全開もばっちり加速する。
ダウンヒルストレートの6速も多少アヤシイが、戻す程でもなく、全開で行ける。

このフィーリングは今までの中で一番いい。エンジンも調子良さそうだ。今までよりも随分上迄回るようになった。
リアのスリックもバッチリOK。GPRの時に感じた立ち上がり時の不安感が無くなり、切り返しも軽くなった。

2周目にサインボードを見ると、T−18 45。

「あれ?18秒でちゃった。」ベストタイムに迫る勢い。

17秒を期待するが、その後3周連続で18秒。

(なかなかでないな)と思っていると、前から集団がやってくる。

先程迄と違い、ヘアピンはみんなインベタ。レーシングラインに引かれたオイル処理剤を避けて、
イン側の僅かなアスファルト上を通っている。丁度バイク1台分。集団でヘアピンに入ると1列になり、渋滞が出来る。
ほぼ毎周そんな状態。
滑るの覚悟でアウトから進入するが、でかいバイクには立ち上がりで離される。
前に出すと130Rを過ぎたあたりから邪魔になるのでダウンヒルのブレーキングで抜いておく。
それでもホームストレートで追いつかれるが、1コーナーで又抜き返す。
2コーナー立ち上がり後のストレートで抜かれて3コーナーで抜き返す。
そんな事の繰り返し。タイムは一気に20秒代迄落ちる。
3コーナー立ち上がり後のストレートで又抜かれる。

だんだんキレてくる。この次のコーナーで抜き返さないと、130R過ぎで又タイムロスしてしまう。

根性一番。いつもより奧でブレーキをかける。
リアが安定しない。そういえば、リアブレーキ無しだった。
フロントだけで止まろうとしているバイクは、車速を落とすのに時間がかかり、やや強引に且つオーバースピードで5コーナーへ進入する。
1周全部クリアラップがとれるのは殆ど無く、暫く走ると前からバイクがやってくる。又一からやり直し。

走行も終わりに近づいた頃、最終シケインでかなりリアが滑った。
あそこは2速で進入し、切り返しと同時に1速へ入れ、一瞬オニバンクした後、アクセルを開ける所。
低いギアでのフルバンクで急にアクセルを開けるとさすがに滑る。
プロファイルが合っていない為、路面との接地面積も少ないのだろう。ノーマルホイールなので仕方がないが、
プロダクションタイヤよりはマシである。

そうこうしている内にチェッカー。結局ベストラップを更新する事は出来なかったが、今の状態ならこんなものか。

ピットのモニターで自分の順位を見てみると、46台中25位。予選通過ギリギリといった所。



本日最後の走行枠、RSオータ。ツナギに着替え、フロントのブレーキパッドを確認する。

RSオータ:「あれ?なんかパッド無いよ。」

俺:「どれどれ・・・・あぁ〜あるある。ちょっとある。あと1本行けるよ。」

RSオータ:「無いって。ベース出てるよ。ディスクに線入ってるし。」

アキラ:「とりあえず、外して見てみよう。」

キャリパーを外してパッドを確認すると、無いと言うより、一部ベースが削れている。

既にベースが削れている
やばい程終わりすぎたブレーキパッド

この状態で走ってたら大変な事になっていた。しかし発見したのはいいが、パッドのスペアを持っていない。
あえて言うなら、以前リアと間違えて買ったデイトナのハイパーパッドが1セットある。
左右の4枚から、まだ残っている2枚を選んで、ハイパーパッドを片側1枚ずつ使うしかない。

17時45分。走行が開始された。

突然アキラが俺の工具箱からTZのブレーキパッドを取り出し、キャリパーに入れようとする。
そしてマタこれがピタリとハマッた。

左にTZパッド、右にハイパーパッド。約9分遅れてRSオータ出動。

22秒、21秒、22秒といい調子で走っている。

が、4周目に突然ピットイン。ピット前でバイクを停止させる。又してもトラブルか?

アキラ:「どうした!?」

RSオータ:「いや、最終のシケイン手前でギア抜けしちゃって。」

RSオータ:「そのままオーバーラン気味になったら、ピットロードだったんで、入ってきた。」

俺とアキラ:爆笑しながら、「行けっ!」と1コーナーを指さす。

そのまま2周を消化し、2周目に20秒代をだすと、チェッカー。本日の走行が全て終了した。



今回も事件が多発し、課題の残る1日となった。

リアブレーキの件は特に気になる。
マスターシリンダーだけの交換で直るんだろうか?
キャリパーごと交換すれば大丈夫か?
それとも他に原因があるのか?

今までセッティングやトラブルに悩まされずに、走り込みだけに集中出来た日は一度も無い。

次回は1週間後、8月8日の土曜日。

結局使わなかったGPR

本日のベストタイム
アキラ2分15秒69
HIRO2分18秒45
RSオータ2分20秒80

〜 今回の教訓 〜

・タイヤは前後スリックに決定!
・エンジンOK!キャブOK!
・リアブレーキどーなっとんじゃい!
・オイル垂らすな!(因みに私は2回やってます)

以上

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