VTR1000F
作成日:99/03/27
更新日:99/04/06
「バイクどぉ〜すっかねぇ。」
「バイクねぇ・・・。」
去年末あたりから何度となく繰り返されてきた会話である。’99年7耐用参加車両の話。
去年のFZR
の様なウマイ話がそうそうある訳も無く、今年はバイクから自分達で調達しなければならない。(本来それが当たり前なんだけど)
《もう去年みたいな苦労はしたくない》と言う3人の共通意見をもとに、世にある様々なバイクから現実的な線を踏まえて選択肢が絞り込まれていく。
少なくとも一般車ベースの中排気量車は×。今年の予選通過タイムは去年を相当上回るだろうし、あんなレースじゃもうとても400なんかでやる気しない。
とは言うものの、やはりレースはお金がかかる。3人ともそれぞれ自分のバイクを保有するので精一杯。
それでもなんとか手段を見つけ、今年も自分達に出来る範囲で7耐に参戦したい。
まず、最初の案。
中古のTZRを買ってきて、そいつにおーたが所有する’91TZのエンジンを乗せる。
予選だけばっちりセッティングしてタイムを出し、決勝はかなり余裕を持たせたセッティングで7時間に挑む。
これが可能ならば一番現実的で金銭的にもかなり楽。
案としては悪くないし、今あるバイクを活用出来る唯一の手段である。
しかしこの後何の動きも見せず、1ヶ月が経過したある日。
言い出した本人、おーたの「やっぱめんどくさい。」であえなく却下となる。
結局の所、やはりバイクは買わなくてはならない事となる。しかも安価に、7耐を戦えるバイク。
「TLって比較的安い方だよね?」
「ん〜。かっちょわるい。」
終了。
「やっぱVTR?」
「あれじゃみんなと同じになっちゃうじゃん。」
「やっぱみんなとは違った何かやらかしたいしね。」
終了。
「思い切ってドゥカティーとか?」
「あれ燃えるじゃん。」
「そーいや燃えてたな。」
終了。
「R1。」
「あんなバイクじゃレース自体つまんなくなるよ。優勝できるバイクじゃん。」
「ってゆーか、買えない。」
終了。
「R7。」
「もっと買えない。」
終了。
「R6!FZRと同じ車重で馬力倍!」
「R6ねぇ。おもしれーだろーなぁ。あんなんで出られたら・・・。でも100万も出せないっしょ。」
「あのさ、俺考えたんだけど、R6買って向こう3年使うんだよ。で、頭金無しの3年ローン組んで100万を3人で払う。そーすると利子付でも1人あたり月1万。どぅ?」
「月1万かぁ・・・。」
暫し流れる時間。(この間にも様々な意見が交わされた)
「うん。いいよ。月1万。それでいくか。」
「ほんじゃ、今度お店行って聞いてみよう。輸入するしか無さそうだし。」
しかしこの後何の動きも見せず、1ヶ月が経過したある日。
「TRXにしようかな。」とおーた。
「て、てぃあーるえっくすぅ?なんでまた・・・。」
「安いし。いいかなぁと。」
「あのバイクだいじょぶなん?予選平気かな?」
「大丈夫だよ。結構イジらないといけないけど。」
「そっかぁ。TRXかぁ。去年は1台も居なかったし、いいかもね♪」
TZ250を所有しているおーた。今年は参戦クラスをオープンに変更する。
3人で耐久しか使わないであろうバイクを1台買うよりも、自分のバイクを買ってなおかつ7耐にも使う。より現実的な線。
しかしこの後何の動きも見せず、1ヶ月が経過したある日。
言い出した本人、おーたの「やっぱめんどくさい。」であえなく却下となる。
しかし、おーた自身がオープンの選手権を目論見つつビックバイクを買い、7耐にも使用するという方針だけは変わっておらず、引き続きバイク探しは続く。
そしてこの後何の動きも見せず、1ヶ月が経過したある日。
「バイク決まった?」
「VTR。」(キッパリ)
「えっ?なにが?なんで?」
あまりいじらず、お金をかけず、そこそこイケるバイク。それでいて比較的安く、人気があり、去年の参加台数もダントツトップ。
それゆえ各コンストラクターからのアフターパーツやデータも豊富に揃っており、現場でトラブルが起こった時等にも対応しやすい。
その辺を考慮した上でのおーたの判断。
「結局、ホンダって事かぁ・・・。」
「いや、でもあのバイクは今までのホンダって感じでもないし。」
「そっか。うん。VTRかぁ。去年さんざんやられたあのバイクに乗れるのかぁ。」
去年、400で参戦した俺らに立ちはだかったビックバイクと言う現実。その大半を占めていたVTR。
今思えばパワーのあるバイクに乗れなかった俺らの負け惜しみや皮肉もあっただろう。(もはやVTR=敵って感じ)
自分達が出来る事と現実とのギャップに随分と悩まされた。
しかし今年、随分と苦汁を飲まされたそのバイクに乗れる。今度は俺達自身がVTRに乗って7耐に参戦する。あのバイクで走れるんだ。
3月14日、バイクショップ
CROSSROAD
で赤いVTRを購入する。
これでVTRでの参戦計画がより現実のものとなった。
もう去年の様な言い訳は通用しない。あのパワーをどこまで使う事が出来るのか。
未体験のビックツイン、乗る前からワクワクする。
去年、RS(RacingService)だったおーたは、VTRを手にした今年、SP(SpecialParts)おーたとなる。(詳細は次号参照)
今年はおーたが個人で購入したバイクを7耐参加車両とし、レースに必要なセッティングパーツ類は基本的に残りの2人で負担する方向で進めていきます。
予定使用金額は去年の3分の1。1人あたり平均20万!
以上
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