公式練習(8月27日)
作成日:99/09/02
更新日:99/09/02

公式練習2日目。練習も今日が最後。

部屋を出ると路面には所々雨の跡が残っていた。昨夜一時的に降ったらしい。今も空は曇り。
グループ別走行時間の関係で、KLEVERより1時間遅れてパドック入り。今日から既に駐車整理が行われていて、車両通行証に指定されている駐車場にしか止められなくなっている。

明日が予選と言う事もあり、朝からパドックは大賑わいとなっている。ピットの至る所から大排気量車のエンジン音が鳴り響く。

3人の走行ローテーションは当初の予定でいくと1本目トシ→おーた、2本目トシ→俺、3本目おーた→俺だったが、トシは1本丸々本気で攻めた事が無かった為、希望により1本目の走行は全部トシが走りきる事にする。そして2本目、3本目は両方ともおーた→俺とライダー交代して走る。

9時30分。Bグループ1本目の走行開始。イニシャルは昨日よりさらに半目盛り入れて、4目盛り。

トシ1本目出動

トシがコースインしてすぐ、パラパラと雨が落ちてくる。どうも走り出すと雨が降りだすパターンが続いている。きっとどこかにスイッチがあるはずだ。今度受付で聞いてみよう。

そしていきなりピットインしてくるトシ。何か問題かと駆け寄る3人。

トシ:「アゴひも絞め忘れた。」

3人:「はいぃ〜。」

やはり彼も相当緊張しているようだ。

小雨がぱらついているが、路面を濡らす程ではない。再度コースイン。
4周目から9周目まで14秒から15秒の間。10周目と最終ラップの11周目が13秒代。2秒マジックは出なかったが、自己ベストを0.4秒更新して走行を終えた。

トシのインプレッション
イニシャル...
3目盛りだろうが4だろうが5だろうがさっぱりわからんかった。
兄貴3で太田さん5だから中間取って4って感じ。
トシの走行後、フロントのブレーキパッドを見ると、右キャリパーの外側のパッドだけ異常に減っている。前から片減りが気になっていたが、今着けているパッドは昨日換えたばかりだ。まだ2時間ちょっとしか使っていない。他の3枚は、後1時間は余裕で使える状態なのに、こいつだけはもう30分も使えない程減っている。

一番左が片減りのパッド

スペアホイールから右側のブレーキディスクを取り外し、交換する。FCMも新品はあと2セットしかないが、とりあえずこれを着け、まだ使える3枚をストックする。

その間に、大粒の雨が落ちてくる。路面を濡らした後、所々に青空が広がる。頼むから、もうこれ以上[雨(大粒)]と書いたスイッチを押すのは止めて欲しい。


11時45分。Bグループ2本目の走行開始。俺とおーたで5周ずつ。最初におーた出動。イニシャルは俺とおーたの間を取って4目盛り。

路面は全体的に濡れているものの、ライン上はドライ。13秒から14秒で4周走り、最終ラップは自己ベストに近い11秒91。

ピットインしてくるおーた。俺へとライダーチェンジ。イニシャルは4目盛りのまま。

スクリーンに細かい雨粒が当たっている。[雨(小粒)]を押したらしいが、これくらいなら全開でいける。それより何しろバイクが多い。抜いても抜いても集団で押し寄せてくる。いつもよりイニシャルを抜いたため、ブレーキングで底付き感が出て思いっきり突っ込んでいけない。進入で抜きづらい。

タイムは12秒から15秒。とてもタイムアタック出来る状況じゃない。比較的クリアだった最終ラップにやっとこ10秒真ん中のタイム。
おーたのインプレッション
イニシャルを4目盛りで走ったが、進入からクリップまで自分のリズムで乗れない感じ。とにかくフロントが安定しすぎていて、駄目って感じ。



昼休み。そろそろ何を注文していいか分からなくなってきたドライバーズサロンで飯を食い、全員で受付を済ませる。

予選までの練習は残すところ後1本となった。次の走行が最後の1本となる。
Aグループ最後の走行ではフルコースコーションの練習が行われていた。

解説 〜フルコースコーション〜
 事故発生時に、競技監督の判断によってペースカーが介入してレースを一時非競技化し、スロー走行で先導し、その間に事故処理を行う方法。

おーた:「フルコースコーションになったら入ってくるから。」

午後3時15分。Aグループのフルコースコーションにより、15分遅れてBグループ最後の走行がスタートする。
予選までは、やはりお互いのセッティングで走る事にし、イニシャルを5目盛りに合わせ、出動するおーた。

コースインして計測開始から1周目、コントロールラインの電光掲示にSCのマークが表示される。ポストからは赤い×印の旗が掲示された。早速フルコースコーションの開始だ。
解説 〜SC〜
 SuperCub(スーパーカブ)の略で、コース上にスーパーカブが走っている事を意味する。訳ではない。
 SafetyCar(セーフティーカー)の略。いわゆるペースカー。
暫くしてピットインしてくるおーた。

おーた:「フロントはこれでOK。後3周してきていい?」

俺:「あぁ。全然いいよ。」

フルコースコーション中のピットアウトは、ペースカーに付けている最後尾の車両がピットロード出口を通過してからの10秒間だけとなる。

ホームストレートをペースカーが走り抜けていくタイミングで再び出て行くおーた。

俺:(ってゆーか、ピットインのタイミングはこっちに任せてもらって良かったんだけどな。)

俺:「ピットインの指示は予定通り、残り時間の割合で出していいよ。その前におーたの判断で入ってくるかもしんないけど、そんときゃそれでいいから。」

この後5分程フルコースコーションは続いた。グリーンフラッグが振られ、フルコースコーション解除。全開でホームストレートを駆け抜けるおーた。計測開始。

しかし次の週にピットインしてくるおーた。

俺:「もう、いいの?」

おーた:「うん。もういい。イニシャルは確認できたし。」

ライダー交代し、えいじにも手伝ってもらい、イニシャルを3目盛りまで入れてコースイン。

俺:(これが最後。これ走ったら次は予選だ。さぁって。ぶちかましてみるかっ!)

今回もバイクが多い。コーナー毎にイン側から抜いていくが、タイムは9秒から10秒の間。
又、サイレンサーからの音が再びうるさくなってきた。昨日ほどのパワー感も無くなってきている。
走行も後半に入り、何台かに抜かれ始めた。再び抜き返してやろうと気合で攻め込んでいくが、ブレーキレバーがハンドルに当たり始め、これ以上ブレーキングポイントを縮められない。調整する時間も無く、チェッカーとなった。
10周の内、結局4周目の9秒42がベスト。7秒どころか8秒にも入れる事が出来なかった。
おーたのインプレッション
イニシャルを抜いて走った事で感じはだいぶ良くなったが、人間のほうが突っ込みで走る走り方になってるようで、本来の走り方に戻らず駄目ってかんじ。
フルコースコーションのシュミレーションでセーフティーカーが入ったのと、東コースですこし雨が強くなってたので、交代した。
これで練習は全て終わった。



走行が終わり、エンジンが冷えるのを待って車検を行う。


車検前はなるべくバイクを奇麗にして行くのが基本だ。

車体をウェスで磨くえいじ

3人分の装具一式。乗せられるだけ台車に乗せる。

車検前

まずは音量測定。規定は5,000回転で片側105dB以内。俺らのVTRは右側103dB、左側は105dBとギリギリOK。

音量測定

次に装具及びサインボードのチェック。つなぎはフックに吊るされた状態でチェックされる。3人とも問題なし。
サインボードは横60センチ×縦110センチ以内と決まっている。


そしてアンダーカウルやバイクのチェック。アンダーカウルは外して持って行く。ちなみに車検場内は撮影禁止となっている。


無事、車検終了



車検が終わり、ピットに戻る。ブレーキは調整範囲で問題無いと言う。確かにレバーの調整を一番遠くにすればいけるような気もした。簡単にエア抜きを行ったが、エアは出て来ないし、他に原因も考えられないのでOKとした。個人的には今までと違う感じにどこか引っかかった。

おーたがサイレンサーを開けている間、俺とえいじは明日の予選に備え、スペアホイールに新品タイヤを履かせる。


それにしてもえいじは要領がいい。このサイズのタイヤ交換は初めてらしいが、とても初めてとは思えない要領の良さだ。タイヤレバー1本で簡単にフロントタイヤを交換していた。作業を見ていると安心して任せられる。
え〜ぼやアキラもそうだったが、普段から手先を使った仕事をしている職人はこんなものなのかと妙に感心させられた。


台車で遊ぶアキラ 原チャで遊ぶアキラ

サイレンサーを開けたおーたに呼ばれる。見ると、排圧のかかる左側サイレンサーのグラスウールが半分しか入っていなかった。右側は正常。
パワー不足と音が大きかった原因はこれで分かったが、もう新品のグラスウールは少ししか持っていない。

明日入るもりやすぅさんに連絡してグラスウールを買ってきてもらうか?しかしその前に、近所のディスカウントストアーにダメ元で行ってみて、無かったらTSRの工場へ直接行く事にする。
何れにしても、もう時間が無い。既に夕方の5時を過ぎている。
自分のトランポが置いてある第2駐車場へと歩いていると、ピットバイクに乗ったてんちょに声をかけられる。

てんちょ:「TSR聞いてみた?」

俺:「あ。いや、直接行ってみようかと・・・。」

俺:(あそっか。TSRのピット行って聞きゃぁいいんだ。)

TSRの居るピットにお邪魔し、てんちょに聞いてもらう。

しかし、反応はイマイチ。工場で見かけたが、その後使われたような使われていないような。詳しい事は担当者に聞かないと分からないと言う。しかもその担当者は不在中。暫くしたら戻って来るとの事なので、一旦自分のピットへ戻る。

しかし落ち着かず、自分のピットとTSRのピットを行ったり来たり。
タイミングを伺い、再度行ってみると、担当者と会う事が出来た。担当の人はあちこちのチームからの問題を抱え、相当忙しそうだった。

担当者:「ええっと、あっ。さっきの人ね。受け取った?」

俺:「え?は?あの・・・。」

担当者に会わせてくれた人:「あ。この方別件です。グラスウールだって。工場にあったよね?」

担当者:「グラスウール?何処の?」

俺:「あ。サイレンサーのです。詰められればなんでもいいんですが。」

担当者:「車両は?」

俺:「VTRです。VEGAのスリップオン使ってます。」

担当者:「グラスウールなぁ・・・。あれ使っちゃったんだよなぁ・・・。」

俺:「あぁ。そうですかぁ・・・。」

暫し考えてる風な担当者。(この間20秒程、2人して沈黙。きっと、あれをこーしてこれをあーしてとかいろんな事を考えていたのだろう。)
担当者:「んじゃね。もう使わないサイレンサーから抜くから、それ使って。」

俺:「あっはい。ありがとうございます。」

担当者:「俺もうちょっとしたら一旦バイク持って工場戻るから。そうだねぇ。あと1時間くらいしたら直接工場来てくれる?サイレンサーも持ってきてもらったほうがいいや。」

俺:「はい。じゃぁ7時くらいにお伺いします。」

やった。何とかなりそうだ。ピットへ戻ると、アキラがえいじにバランスの取り方を教えていた。


ZOOKの正しい乗り方

新品タイヤを入れたホイールをVTRに組む。グラスウールも何とかなりそうだ。これで何の問題も無く、明日の予選を迎えられそうだ。


後は天気だけ。明日の晴天を思わせるような夕焼けに思わず手を合わせる。


6時半頃、少々早いが、TSRの工場へ向かう。パドックから工場までは車で10分もかからない。
工場へ着くと、先程の担当者を見つける。相変わらず忙しそう。どうやらここの工場長らしい。

簡単に挨拶すると、傍らで作業していたメカニックに、グラスウールを取り出す指示をする。

メカニックは楕円の形をした新型のTSR製サイレンサーをバラし始めた。

待っている間、3人程のメカニックが作業している、リフトに乗せられたストリップ状態のAC90Mを眺める。至る所に多額のお金がかかっている。奇麗な溶接で全体的にうまくまとまっており、まさにファクトリーマシンと言った感じだ。
グラスウールを抜いてくれている人は、AC90Mの担当メカニックのようで、サイレンサーをバラしながらも、数人のメカニックに指示を出している。

メカニック:「はい。お待たせしましたぁ。」

と、抜いたグラスウールを新聞紙に包んでくれ、巻き方まで丁寧に教えてくれた。

俺:「ええっと、お金は?」

メカニック:「あ。ちょっと待って下さい。」と先程の担当者の所へ行き、再び戻って来る。

メカニック:「お金いいそうです。じゃぁ、頑張って下さい。」

と、丁寧にお辞儀をするメカニック。

俺:「本当にどうも。ありがとうございます。お世話になりました。」

こうして頂いたグラスウールをピットに持ち帰り、早速作業に取り掛かる。

俺:「お金取られなかった。俺らTSRのサポート受けてんだよ。(笑)」


貰ったグラスウールを適当な大きさに切り、少しずつ入れてはハンマーの柄で押し込んで行く。
満タンに入れたら蓋を閉め、リベットを打って終了。


今日1日、同じピットのKLEVERが何をしていたのか、どんな状況だったかも分からないが、とりあえず明日の予選は問題なく出走出来るようだ。


受付も済ませ、車検も終わった。バイクも出来る事は全てやった。万全の体制で予選に望める。

今日から決勝日までの3日間、ホテルツインリンクに宿泊する。夕飯をレンガで食い、ホテルの部屋へ着いた瞬間、ベットへ倒れ込み、そのまま朝まで動かなかった。


セッティングデータ
ノーマル今日のセッティング(スプリング変更)
サスペンション
(フロント)
突き出し0o7o
油面130mm150mm
イニシャル4目盛り3目盛り〜5目盛り
ダンパー最強から1回転戻し最強から1/2回転戻し
サスペンション
(リア)
車高0o5o上げ
イニシャル最弱から2段目最弱から3段目
ダンパー最強から1回転戻し最強から1/2回転戻し
メインジェットF165、R162(国内仕様)F175/R178

今日のベストタイム
HIRO2分09秒42
おーた2分11秒91
トシ2分13秒20自己ベスト更新

降ったり止んだりの公式練習だったが、結局2日間を通してドライで走る事が出来た。
今日2回の走行では9秒がやっとだった。2本目の最後で折角クリアラップが取れたと思った時に、あれ以上ブレーキレバーを握り込んで行けなかったのが残念でならない。
この2日間の公式練習で感じたが、やはり予選は少なくとも8秒代に入れておかないとやばそうだ。
8秒代。まだこのタイムで2周しか走れていない。グラスウールを詰めた事で、木曜日のようなパワーが戻ってきてくれればと願う。それにしても60台近い出走の中で8秒代を出す事に不安は残るが、自分を信じ、運を天に任せるしかない。

やるだけやった。あとは気合で予選突破!

〜 今日の一言 〜

・スイッチ押すな!

以上

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